Track#6 You make me feel brand new



駅からの帰り道に、銀杏並木の小道がある。
僕は冬が始まるこの季節は、少し遠回りでもここを歩く。
銀杏の葉が一面に積もり、小道を美しく黄金色に染めるからだ。
早いもので、この街に暮らしてから、2度目の冬が来た。
彼女と一緒にここを歩きたい気持ちを抱えながら、一人でこの道を歩く、2度目の、、冬。

2年前、突然の転勤で、遠く離れたこの街での仕事を命ぜられた。3年ここで頑張れば、また戻ることができると上司から言われた。不安はつきないが、この言葉を信じて、2年が経った。

「私、待ってるから、、」

 転勤を打ち明けた夜、彼女はうつむきながら答えた。
申し訳ない気持ちが7割、待っていてくれる嬉しさが3割の気持ちで、遠距離恋愛が始まった。
2ヶ月に1度、週末に新幹線に飛び乗って彼女に会いに行き、日曜の夜に帰る。
電車の窓越しに手を振る彼女が切なかった。

一緒にいたいという想いを、砂時計のように小瓶につめて毎日を過ごした。
次に会うのは来月。この銀杏並木のことも彼女によく話してはいるが、見せてあげることもできない。
そんな気持ちで小道を歩きながら、、、ふと前を見て、目を疑った。

黄金色の銀杏並木に、白いコートを着た彼女が立っていた。
「会いに、きちゃった、、」 
ちょっとばつが悪そうに微笑んでいる。

嬉しくて、彼女の肩をそっと抱き寄せた。
「この道を一緒に歩きたいって、ずっと思ってたんだ」僕は彼女を見て答えた。
手をつないで、ゆっくりと黄金の葉が舞い散る道を二人で歩いた。
街のイルミネーションも、今日は一段とこの道に映えて美しく感じる。
そして、彼女の手を握りながら、心をこめて歌うように、僕は語りかけた。
「ありがとう。 君のおかげで生まれ変わったように、まっさらな気持ちだよ」
God bless you,  You make me feel brand new.


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